国民年金を滞納している方へ

年金制度

払わないままでいると、どうなるか

最悪、財産を指し押されられることもあります。
悪質な場合ですけどね。
年金制度は、対象となる国民すべてが加入する制度なので、加入しない
払わないは認められないのです。
未納の状態が長く続くことは、決していいことはありません。

障害を負ったり死亡したとき、本人や遺族が給付が受けられない場合があります。

また、将来無年金者、そうでなくてもわずかな年金で老後を迎えることになります。

年金制度は、強制制度なので、加入を選択できるものではありませんが、

決して悪いものではありません。

督促状が届いてずっと気になっている方、いま余裕がなくて払えない方、

少し読み進めてみませんか?

国民年金制度のポイント

最初に、国民年金制度のポイントを説明します。

・国民年金とは、公的年金の中で土台となる制度です。

・日本にいる20歳~60歳までのひとが加入します。

・年金が受け取れるケースは、主に3つあります。
 ・年をとった場合に受け取る老齢年金
 ・病気やけがで障害を負ったときに受け取る障害年金
 ・家族の働き手が亡くなったときに受け取る遺族年金・加入者は、次の3つの種別にわかれます。(1号被保険者、2号被保険者、3号被保険者)

・納付書や口座振替で、直接保険料を支払うのは1号被保険者のみです。

 *「被保険者」とは、保険に加入し、保険料を払う人たちのことを言います。

国民年金保険料を払わないで済む方法

先に国民年金の用語について確認します。

「1号被保険者」、「2号被保険者」、「3号被保険者」とは

 (略して「1号」、「2号」、「3号」と言います)

「1号」・・・「2号」「3号」以外 (自営業、農林漁業者、非正規社員やフリーターなど)

「2号」・・・会社員や公務員(厚生年金や共済年金に加入)

「3号」・・・サラリーマンや公務員など「2号」に扶養されている配偶者
厚生年金に加入する人は「2号」

保険料を払ってない人は、アルバイトなど非正規雇用の人たちが多いと思います。

手っ取り早いのは厚生年金に加入することでしょう。

厚生年金の保険料には、国民年金の保険料も含まれています。

厚生年金の加入者は、給料から保険料を天引きされ、会社が国に払います。

保険料は、国民年金保険料より安くなることがります。

それは、会社が半分保険料を負担しているからです。

法律が変わり、会社によっては、正社員ほど長時間働かなくても厚生年金に加入できるようになりました。

厚生年金に加入すると、原則医療保険もセットで加入するため、負担も増えますが、給付も手厚くなります。

一番いいのは「3号」になること

会社員などの2号に扶養される配偶者が3号です。

3号とは、夫がサラリーマンで、妻が専業主婦などの場合の「妻」を指します。

結婚をしていなくても、実際の夫婦と変わらないような生活をしている人たちは、

3号に該当する場合もあります。(まだ入籍していないとか)

3号が一番有利です。

なぜなら、保険料を払う必要がなく、年金を受け取る際にはその期間を払い済み期間

として扱うからです。

3号になるには、年間の収入が130万未満など、一定の要件が必要です。

手続きは配偶者が働く会社で行います。

保険料を払えない人は、免除・納付猶予の申請を!

「2号」や「3号」に該当しない人は、保険料の免除や納付猶予の申請をしましょう。

免除は、申請による免除と法律上認められた免除があります。

・申請免除:所得に応じて、全額免状、3/4免除、半額免除、1/4免除の区分があります

・法定免除:一定の障害年金受給者や生活保護の対象者などが該当します

納付猶予は学生等、失業者など一定期間収入が得られない方に対し、

納付を猶予してくれる制度です。

免除と納付猶予との大きな違いは、受取る際の年金額に反映されないませんが、資格期間として

認められます。

未納と違って、障害や死亡など不慮の事故にも対応できます。

保険料を払った場合、損か得か?

国民年金の、年金額(給付)と保険料(給付)を見てみましょう!

年金額、保険料は、ほぼ毎年改定されています。

昭和61年4月以降で、抜粋してみると
  年 月
  年金額/年
  保険料/月
昭和61年4月
622,800円
    7,100円
平成   5年4月
737,300円
10,500円
平成10年4月
799,500円
13,300円
平成20年4月
792,100円
14,410円
平成30年4月
779,300円
16,340円
令和 2年4月
781,700円
16,540円
・年金額は、昭和61年から平成10年までは大幅に増えたが、それ以降は70万台後半を推移してます。

・保険料は、毎年増加していおり、30年間で2倍を超えてますね。

では、保険料はこのまま永遠に上がっていくのか?
直近、5年間でみると、
  年 月
  年金額/年
  保険料/月
平成28年4月
780,100円
16,260円
平成29年4月
779,300円
16,490円
平成30年4月
779,300円
16,340円
平成31年4月
780,100円
16,410円
令和 2年4月
781,700円
16,540円

保険料は、これまでほど急激な上昇はないように感じませんか?

理由は、保険料が法律による改定の上限に達しているからです。

今後は物価など影響による改定にとどまると考えられます。

年金額は、この辺りが上限でしょう。
では、年金額はどのように計算されるのか?

損得についても考えてみましょう。

令和2年4月時点
保険料 16,540円/月額 年金額は781,700円/年額
現在20歳の人が、これから60歳まで加入した場合

(保険料・年金額は現状で計算)

保険料総額は16,540円×12か月×40年=7,939,200円

元取るには、

払った保険料÷年金額

7,939,200円÷781,700円=10.15年

10年程度で元が取れます

原則の65歳から受取ると、75歳代で元が取れ、あとは長生きするだけ得をすることになります。
単純計算ですけどね。

公的年金と民間の個人年金、どちらが有利⁉

ここで、年金機構が示している公的年金の特徴を、民間の個人年金と比較してみましょう!
日本年金機構パンフレットより

日本年金機構パンフレットより

順番に見ていきます。

➀.誰が加入するのか?→「日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方に加入義務」

国民年金は、該当するすべての国民が加入する制度です。

ただし、保険料を納めるのは1号のみ。2号は「厚生年金保険料」を給料から天引きされることはお話ししました。

その中に国民年金保険料も含まれることも。

3号は保険料を払わずして払ったとみなされましたね。

②.給付の特徴 「物価などの上昇に合わせて実質的な価値が保障された給付」

先の年金額の推移で示した通り、昭和の終わりから10年余りで急上昇したことは説明ました。

スライド制といって、その時の物価等に合わせて調整される仕組みがとられているからです。

たとえば、物価が上がってお金の価値が下がったとしても対応できるわけです。

このスライド制は、民間の個人年金制度にはありません。

国でないとできないくらい大変な仕組みなんです。

※少子高齢化により年金給付を減らす仕組みも取られています。
少子により制度の支え手の減少と、高齢化による年金財政への圧迫を抑制するためです。

そのため、物価等の上昇分が、そのまま年金額に反映されない場合もあります。

④.誰が運営してるの?「国と日本年金機構が運営」

基礎年金の2分の1と運営事務費の多くは、国(税金)で賄われています。
(平成21年3月までは3分の1です。)

つまり払った額はすべて給付に反映される上に、給付の半分は国が負担してくれるということです。

逆に、民間の個人年金の保険料には、人件費や広告費が含まれてますよね。

「2分の1を国が負担する」、この意味について説明します

老齢基礎年金の満額 791,700円

これは20歳から60歳までの40年間(480月)国民年金を払った場合の金額です。

計算式は791,700×払った月数÷480月で計算します。

40年間もれなく払うと

計算式は781,700×480月÷480月=781,700円

では、40年間すべて全額免除の期間だったらどうか?全額免除期間も2分の1は国が負担するから、

781,700×(480月×1/2)÷480月=390,850円

40年間、1円も払ってないのに、満額年金の半分が受給できるんです。

「2分の1を国が負担する」って、すごいことなんです。

⑤.生活が苦しいときの保険料の支払いは?「保険料の免除制度を利用する」

免除制度は、保険料を納めることが難しそうな人に、納付を免除や猶予する制度です。

例えば、失業や退職、収入が少ない方、身体に障害がある方などです。

他にも、災害による家財の損害や、新型コロナウイルスによる収入減少にも臨時に免除制度を適用させるなど、柔軟に対応してます。

⑥.「保険料は所得税を計算する際、所得から全額控除されます」

収入から所得控除された残りが課税の対象となります。
保険料全額が控除対象ということは、それだけ税が安くなるということです。

民間の個人年金は、一定額までしか控除できません。

ここまで、読んでいただきありがとうございました。

40年間すべて全額免除期間だった場合、国が2分の1負担するから、満額の年金の半分は受給できるという話をしました。

もし、40年間未納の状態だったら、1円ももらえません。

免除をしていたひとも、未納のひとも、保険料は全く納めてません。しかし、将来これだけの差がでるんです。

もし、全額免除状態だった人が、交通事故で重い障害を負った場合、障害年金が受給できます。

障害年金は2級が年額781,700円、1級は997,125円です。

障害年金は、その状態が続く限り、ずっともらえます。
未納が続いた方は請求すらできません。

「国民年金の2分の1は国が負担する」、その財源は「税」です。

私たちがいつも払っている、「消費税」の一部も充てられてます。

つまり、未納状態が続いている方は、税というかたちで「負担」を強いられながら、得られるはずの「給付」が受けれられないことになります。

・一方でしっかり納付してきた方には、生涯の給付を約束してます。

・一時期、収入が途絶えた方にも、免除や納付猶予制度を準備してます。

・不慮の事故による障害や死亡に際しても、給付があります。

最後にもう一度。

年金制度は、強制制度なので、加入が選択できるものではありませんが、決して悪いものではありません。

督促状が届いてずっと気になっている方、いま余裕がなくて払えない方、まずは制度を知ることから始めてみませんか。

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